世界はきみに恋をしている。

カナが窓の外を指差す。
この教室からは、グランドがちょうど見えるんだ。

ノガミくんは、男の子たちと楽しそうにサッカーをしていた。多分、サッカー部の子だって何人かいるはずなのに、ノガミくんは一番足が速くて目立っている。


「ノガミくん、すごいね…」

「あいつ、運動神経いいのね」


ノガミくんに、苦手なことってないのかな?勉強だって別にできないわけじゃないし、むしろきっと出来る方。
たまに、私の課題をチラリと見ただけで、「そこ間違ってんぞ」なんて言ってくるんだもん。


「ノガミくんって、タケちゃんが言うほど問題児なのかな……?」

「まあ、見た目は明らかに問題児よね」


カナの言葉に苦笑する。確かにそうだけど……。そういえばノガミくんは、好きでこんな外見になったんじゃない、って言ってたな。

私は、あのノガミくんの派手さが、けっこう好きなのに。自分の好きなことを貫けるって、すごいことじゃないかなあ。

< 28 / 50 >

この作品をシェア

pagetop