世界はきみに恋をしている。

ずっと窓の外を見ていると、そろそろ疲れてきたようで、ノガミくんたちはサッカーをやめた。

それと同時に、女の子たちがわらわらと寄ってきて、ジュースやタオルなんかを渡している。

もちろん、それを受け取っているのはノガミくんだけじゃないけど……。私は何故だか、その光景を見ているのがとっても嫌だった。


「なんだ……。ノガミくん、やっぱりモテモテだね」


ノガミくんは、多分あの中で一番多くの女の子たちに囲まれている。
べつにそんなの、私が気にすることじゃないけどさ。


するとその時、ノガミくんがこちらを向いて、ばちりと目があった。


ノガミくんは目がいいのか、すぐに私とカナだってわかったみたい。だって、こっちを向いてニヤリ、って笑ったんだもん。


カナも、「あいつ、今絶対こっちに向かって笑ったわね」なんて言っている。

ノガミくんは、囲まれた女の子たちに引っ張られて、私たちから目線を外す。本当に人気者なんだなあ、って。ちょっと寂しく思って、私も視線を外してやった。

そうしたら、後ろから声をかけられた。


「ね、ノヤマさん今日日直だよね?
これ担任から____」


話しかけてきたのはクラスメイトの有馬くんだった。そういえば、今日日直だったんだった。私は有馬くんにお礼を言って、担任から預かったという日誌を受け取った。

その後、また窓の外を見たけど、
ノガミくん達はもうすでにグランドにはいなかった。



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