世界はきみに恋をしている。

ノガミくんはそう言って、またプイッとそっぽを向く。ずるいって、ずるいって。
それならノガミくんの方が、もっともっとずるい。

だって、こんなノガミくんの表情、きっと知ってるの私だけだ、って。勝手に頬が緩んじゃうよ。


「ノガミくんって、照れ屋さんなんだ」

「はあ？おまえなあ……」


ノガミくんは呆れたように私を見て。
そして、身を乗り出して、私のほうに手を伸ばした。

いつかのように、また頬をぎゅっとつかまれて。
でもあの時より、ずっとずっとノガミくんの手は優しくて、どきどきする。


「いひゃいよ、のひゃみくん」

「ばーか。
言っとくけどな、俺はああいうまとわりついてくる女子、好きじゃねえから」


ノガミくんはまっすぐ私の目を見てそう言った。
掴まれた頬はあつくて。溶けてしまいそうなほど、私の体温が上がっているように感じだ。


「わかったか、馬鹿ミウ」


ノガミくんはそう言って私から手を離す。そしたら、また照れたようにそっぽを向くんだ。


「へへ。ノガミくん、なんか可愛いね」


そう言ったら、またノガミくんに怒られたんだけど、ちょっと嬉しかったっていうのは、秘密。