足踏みラバーズ
高校の同級生からの連絡だった。
知っている限りの同級生を招待した、大勢のグループLINEができていた。最近は、嫉妬に駆られて見苦しい、そんな自分も少しは気が紛れるかもしれない。
そう思って、参加の旨を伝えると、飲み会の日は、ちょうど百合子ちゃんと瑞樹が結婚式に参加する日だった。
久しぶりに会う級友の中には、成人式ぶりに会う懐かしい顔ぶれもあって、自然と会話も弾む。
さもしい自分を、束の間の時間忘れることができた。
お酒も入って、気分は上々。
場所を変えて、二次会にも参加した。
「蒼佑、久しぶり」
店の中を入り乱れる友人たちを後目に、隣にゆっくりと腰を下ろす女性。
「……美由紀」
今日はの同窓会には不参加だと言っていたはずの彼女が、なぜか姿を現した。話によると、仕事が早く終わって駆け付けたのだという。
特記するべきこともなく、学生時代の昔話に花を咲かせては、自然と今何してる、なんて話へと変わっていく。
別れてからは、仲の良い友人関係を築くわけでもなく、同級生の一人として接してきた。
別れたと同時に連絡先も消去して、関わりも稀薄になっていたが、どういうわけがふとしたときに彼女に視線が向くこともあった。
初めての彼女だったのだから、そんなこともあると思う。
男は初恋を引きずるとも言うし、はあながち嘘ではないと自分自身を納得させる。しかし、段々と稀薄になった関係を表すかのように、その後進学してからは、彼女のこともすっかり忘れていたのがいい証拠だ。
「今、彼女いるの?」
そう問われて、なんで、なんて答えてしまったのが運の尽きだと思う。
いる、とその一言で美由紀との関係はこれきりになったかもしれないのに。
LINEしか知らないから、番号教えてほしいな、と上目使いをされた。
百合子ちゃんは小さくないし、家族に大事に育てられたんだろうな、なんて仕草をするけど、普段は女性らしい仕草を毛嫌いするような子だから。
久しぶりの感覚に不覚にも少し心がときめく。
今までだったら、きっと問答無用で否定するところだろうに、今のおれは身勝手ながら絶賛傷心中だ。
同級生なら断りを入れるのも不自然だ、なんて言い訳をして、連絡先を交換してしまった。
帰り際、我に返って罪悪感が募る。
「何やってんだ……」