溺愛ENMA様
昼間教室で亜子に言った自分の言葉が脳裏によみがえる。


『ちゃんと好きになってから付き合いたい。相手の気持ち分かってるのに友達からとか、そういうのはなんか、おんなじラインに立ってないみたいで嫌なの。
告白されたからとりあえず付き合ってみるとか、私には多分無理』


この言葉は嘘じゃない。

けど、こんなイケメンが、こんなに真っ直ぐ私を見つめて好きだって言ってくれているのに、断るって、なんか。

亜子ちゃんが言ってた。

高木海人は素敵だからすぐに好きになれるって。

ホントに……すぐに好きになっちゃいそうだ。

ああ、でも……。

どうしよう、どうしよう。

風が俯いた私の髪を乱して、更に気持ちがザワザワとした。
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