溺愛ENMA様
「食わねぇなら、俺が全部、」

「食べる!」

高木海人の事件を忘れるくらいの衝撃だった。

だって、あの世で死者の審判をしていた閻魔が、朝食を作ったなんて。

ベッドから勢いよく起き上がった私を見て、閻魔がホッとしたように息をついた。

「どうしたの、朝ご飯作ってくれるなんて……」

すると閻魔は、ベッドに座ったままの私に手を伸ばした。

「いいから、来い」

伸ばされた手に私が手を伸ばすと、閻魔が私を引き寄せた。

「あ」

トン、と床に降りたら急に閻魔が私を胸に抱いた。
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