溺愛ENMA様
……フワリと優しく。

温かい閻魔の身体は大きくて、私の鼓動がドクンと跳ねた。

「な、なに、閻魔」

「………」

男らしく逞しい身体にスッポリと包まれて、バクバクと脈打つ心臓の音が耳元で響く。

閻魔の手の感覚を背中に感じて、私はもう、顔が熱くて仕方がなかった。

「閻魔ってば」

「アイツが好きなのか」

……アイツ?

「アイツって?」

その瞬間、顔が見える距離まで身を起こした閻魔が、私を見下ろした。

些かつり上がり気味の眼で私を不機嫌そうに見下ろしているのに、閻魔は更に両腕に力を込めて私を抱き寄せた。
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