溺愛ENMA様
……キスだ。

キスした、閻魔が。

ドキン!と一際胸が高鳴って、私は間近に見える閻魔の喉元を見つめた。

確かキスは四度目だ。

閻魔の屋敷で頬にキスされたのが最初。

彼が閻魔帳を取り戻しに来た時が、二度目。

三度目は高木海人に告白された時、突如現れた閻魔は私の髪にキスをした。

そして今、額にキス。

そりゃ、チャラい閻魔にしたらなんて事ないのかもしれないけど、私はそうじゃない。

四回目のキスは、凄くゆっくりでこの上なく優しくて、閻魔の唇の感覚がモロに伝わってきた。

カッコいいからって、ズルいよ。

やがてゆっくりと唇を離した閻魔を、私は睨んだ。
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