溺愛ENMA様
「うん」

仁は心配そうに眉を寄せると更に続けた。

「絶対に無茶はダメだぞ。いくら俺でも、あの世の奴らには、口出しできないからな」

「あの世の奴らって?」

「鬼や、閻魔。特に閻魔には逆らうんじゃないぜ?」

閻魔って、閻魔大王よね。

「……分かった」

仁は腰に手をやって私の部屋をグルリと見回すと、大きく息を吐き出した。

西陽がカーテンの隙間から私と仁を照していて、仁はそのオレンジの光を瞳に写しながら掠れた声を出した。

「ベッドに横になれ。すぐ連れていってやる」

「仁。ありがとう」

私は仁にハグをすると、ベッドに横になって眼を閉じた。

ドキドキする胸をおさえて、朱里の笑顔を思い出しながら。

待ってて、朱里。

絶対に助け出すから。
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