溺愛ENMA様
「それが良くないの。居座っちゃってる」

「なんだって?」

仁がクッと眼を鋭くした。

「とり憑かれてるんだって、私」

私は小さく息を飲む仁にバタバタと掌を振り、何でもないといった風に笑った。

「大丈夫だよ、絶対に閻魔の勘違いだから」

「閻魔は、お前が取り憑かれてるってどうして分かったんだ」

私は袖をまくり上げて、仁に肩のアザを見せた。

「このアザは、魔物に取り憑かれた者に浮かぶ印なんだって」

仁がビクッと身体を震わせた。

「これは……烙痕(ステイグマダ)だ」

仁の顔は何故か真っ青で、私は思わず彼の額の汗をぬぐった。
< 121 / 328 >

この作品をシェア

pagetop