溺愛ENMA様
「仁、大丈夫?」

仁はすぐに私のアザから眼をそらすと、袖を整えながら口を開いた。

「……閻魔は、何をする気なんだ」

「さあ。なんでも、魔物に取り憑かれた者は死ぬから、俺が守ってやるって、」

「無理だ!」

突然、仁が声を荒げた。

「仁?」

驚いた私を見て、仁が我に返ったように瞬きをした。

「……何が無理なの?」

「ルナ」

仁が苦痛に歪んだ顔で私を見た。

たちまち、私の胸に不安が生まれてグルグルと渦巻く。
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