溺愛ENMA様
「ルナ……うっ!!」

その時、空気を切るような何か鋭いものが私の髪を乱した。

「仁!」

その瞬間、仁の頬に一筋の黒い線が生まれて、私は眼を見張った。

仁の血は黒い。

「仁、血が……!」

「そんなもんじゃ済まなくなるぜ。おい、赤髪の悪魔、ルナを離せ!」

「っ……!」

振り向くと、部屋の中央の空間に、閻魔が胡座をかいて浮いていた。

それを見た仁が、私を身体から離して身構える。

「……閻魔か」

閻魔が顎をあげ、斜めに仁を見ると不敵な笑みを浮かべた。
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