溺愛ENMA様
「どこのどいつか知らねぇが、天下の閻魔様を呼び捨てとはいい度胸じゃねぇか」

「ルナ、下がってろ」

仁は低い声で私にそう言うと、閻魔に向き直った。

「閻魔帳は返しただろう。現世から……ルナから去れ!」

「フッ、わかってねぇな。お前みたいな雑魚が俺に意見できる日なんざ、一生来ねぇんだよ」

言うなり閻魔が縦に構えた指二本を顔の中心に移動させ、短く何かを呟いた。

「ぐわぁーっ!」

たちまち仁が膝を折り、頭を押さえて苦しみだす。

「仁、仁!」

閻魔だ。

閻魔の仕業だ。
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