溺愛ENMA様
「今日の夕食(ゆうげ)はなんだ?」

ゆうげって……武士か、お前は。

私は現実通り越して江戸時代に引っ張られた気分になり、若干イラッとしながら閻魔を見ずに答えた。

「閻魔さー、涼馬とつるんでるなら女子の話ばっかしてないで、現代人のしゃべり方も学んだら?
ちなみに今日のディナーは、ハンバーグ」

『ディナー』に力を込めて言うと、なんにも気づかない閻魔は、少し眉を上げた。

「なんだそりゃ」

私は、タオルで頭を拭きながら冷蔵庫を覗く閻魔をシゲシゲと見つめた。

……ジムでトレーニングしているわけでもないのに、細マッチョだな。

「ねえ、閻魔ー」

「あー?」

「聞きたいこと山ほどあるんだけど」

私がそう言うと、閻魔は水を飲む手を止めて斜めからに私を見おろした。
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