溺愛ENMA様
私は朱里の言葉を思い出しながら、彼女の姿を探した。

朱里は……どこだろう。

川は幅が広すぎて、向こう岸はまるで見えない。

後ろを振り返ると、少し向こうに山が見えた。

眼を凝らすと、山の方からも人がこちらに歩いてくる。

私は次第に焦りを感じた。

ダメだ、とてもじゃないけど朱里を探せない。

どうしよう、どうしよう!

その時、

「なんだ、お前」

げっ!!

後方からよく響く低いがして、私はビクン!と身体を震わせた。
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