溺愛ENMA様
「あんたは味見のつもりかもしれないけど、女の子があんたを真剣に好きだとしたら、可哀想じゃん。ダメだからね。女の子の気持ちを弄んだら」

「……」

閻魔がなにも言わないから、私は背伸びをして至近距離から彼の黒に近い紫の瞳を見つめた。

「こら、聞いてんの?!」

すると閻魔はフン、と鼻を鳴らして横を向いた。

「別に。さっきの女に興味ねぇ」

「へ?」

拍子抜けした私を見て、閻魔が僅かに眼を細めた。

「現世の女の味見なら……お前でいいけど」

……は?

キョトンとする私に、閻魔は続けた。
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