溺愛ENMA様
「ダメだ」

閻魔の顔がグッと歪んだ。

校舎の端にいたため、朝のこの時間に誰も私達に近寄りはしないけど、数メートル手前にはトイレだって手洗い場だってある。

「何がダメなのよ」

「好きになるな。俺、」

その時予鈴が鳴って、閻魔の言葉が途中でかき消えた。

「閻魔、ホームルーム始まる!教室帰るよ!先に行くからね」

私は閻魔の顔を見ずに、彼の手から離れて走り出した。

ごめん、閻魔。なんか私だけ彼が近くにいて。

私は、閻魔の恋を邪魔してる癖に、自分に彼が出来た事を申し訳なく思った。
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