溺愛ENMA様
私は閻魔を気に入ったと言った隣の女の子を盗み見した。

彼女はそんな私に気付かず、閻魔を見つめている。

…………。

誇らしい気持ちと、それとはかけ離れた何だか嫌な気持ち。

閻魔はダメだよ。

彼はチャラいし、蘭さんがいるんだから。

私は蛍光色のテープで区切られたハーフサイズのコートを見つめて溜め息をついた。

「どうしたの、ルナ。もうすぐ始まるよ」

耳元でロイに話しかけられて、私はぎこちなく笑った。

「うん」

涼馬のトスでゲームがスタートし、体育館が熱気に包まれた。
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