溺愛ENMA様
「閻魔!」

私が少し大きめの声を出すと、フッと閻魔が私を見た。

それから白い歯を見せて片手をあげる。

「頑張ってね!」

「おう!」

その時、ロイが私の肩を抱いた。

「そんなに見つめ合わないで。妬ける」

「やだロイ、そんなんじゃ、」

慌ててロイに弁解してから、私はコートにいる閻魔に再び眼を向けた。

途端にドキンとした。

だって閻魔が……ムッとしている。

動きを止め、口を真一文字に結んで、閻魔が私達を見据えていたのだ。

その眼が不機嫌そうに瞬き、私は無意識に首を横に振った。
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