溺愛ENMA様
電気をつけると、閻魔がリビングのソファに胡座をかいていた。

「閻魔」

返事をしない閻魔に私は歩み寄ると、彼の真正面の床に膝をついて、出来るだけ眼の高さを合わせた。

「閻魔、今日凄く頑張ってたね。カッコよかった」

閻魔は私を見たけど、なにも言わない。

やっぱり、怒ってる。

私は意を決して閻魔に言った。

「閻魔、ごめん。私だけ好きな人の近くにいて。閻魔は蘭さんと離れてるのに、私のせいで離れ離れになってるのに、私だけごめん」

閻魔は僅かに両目を細めると、精悍な頬を傾けて私を見据えた。

「悪いって思ってんなら、別れろ」

胸がドクンとした。
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