溺愛ENMA様
閻魔が低く掠れた声で、再び私に言った。

「悪いって思ってんなら、別れろって言ってんだよ」

黒に近い紫の瞳が、苛立たしげに瞬く。

「聞こえてんのかよ」

「え、んま、」

焦って立ち上がろうとした私の腕を、閻魔が素早く掴んだ。

「っ……!」

よろけた身体を立て直す時間を、閻魔は与えてくれなかった。

眼にも留まらぬ早さで、閻魔が私をソファに組み敷く。

上から覆い被さる閻魔の瞳は相変わらず苛立ちに揺れていて、私は思わずもがいた。

「閻魔、やめて。謝るから」

「謝らなくていいから、アイツと別れろ」
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