溺愛ENMA様
閻魔とふたりで作ったピザは、確か生ハムのピザだった。

焼きたてのピザに乗せるバジルを閻魔が嫌がって、結局私が全部食べたっけ。

閻魔は生ハムをたいそう気に入って、つまみ食いばかりしちゃうから、焼き上がったピザに乗せる分がなくなって……。

「ルナ」

ハッと我に返った時には、テーブルに涙が落ちていた。

あ……。

「ルナ」

「ごめん、ロイ」

鼻をすすり、慌てて手で涙を拭うと、私はギュッと眼を閉じた。

「おいで」

ロイが私の手を引いてソファに座らせた。
< 185 / 328 >

この作品をシェア

pagetop