溺愛ENMA様
靴を履いて玄関ドアに手をかけた時、ガチャリとロックが動いた。

縦になっていたロックのツマミ部分が、ひとりでに回転したのだ。

何が起こったのか理解できず、横一文字になったドアのロックに手を伸ばす。

なに、なんで?

ロックを縦にしてドアを開けようとするのに、まるで動かない。

「ロイ、鍵が開かない」

私が振り返ってロイを見ると、彼はなんの感情も浮かんでいない顔で私を見ていた。

「ロイにも分からない?自動なの?」

「ふふふ」

急にロイが笑った。

「ロイ、私今、ふざける気分じゃないの」

言いながら玄関ドアに向き直った時、背後からロイが言った。

「今夜は帰さないよ。僕の花嫁」
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