溺愛ENMA様
思わず背筋がビクンと震えた。

ロイの声は静かな夜の波のように、なんの抑揚もなかった。

「ようやく時が満ちて君に会いに来たら……何だか余計な虫がたかり始めてるね」

次第に心拍が上がる。

ジンワリと背中に汗が伝い、振り向く事が出来ない。

「あの時……あのハロウィンの夜に抱いてればよかったかな。いやあの時、まだ君は幼すぎた」

徐々に肩のアザが熱を持ち始めて、痛いくらい心臓が激しく脈打つ。

動けない私にロイが更に話しかけた。

「さあ、もう君は十分僕の花嫁に相応しい。僕の子供を産んでもらうよ。これからずっと」

涙が後から後から出てくるのに、怖くて身体が動かない。
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