溺愛ENMA様
ロイが上着を脱いだ。

途端に彼の肩が光を放ち、私は息を飲んだ。

「お揃いのマークだよ。……実はね。君のことは君が生まれたときから眼をつけてたんだ。まあ、ハロウィンの日が初対面だったけどね」

ロイは更に笑った。

「さあ、君のマークも見せて」

口角を上げて微笑んだロイの顔が狂気に満ちていて、私は必死で叫んだ。

「嫌……嫌ぁっ!」

その時、何かがロイに体当たりした。

それと同時に私はソファから転げ落ちた。

身体が……ちゃんと動く。

「ルナ、逃げろっ!」

赤い瞳が私を捉えた。

仁だ。

「仁、仁っ!」

「いいから、逃げろっ!」

弾き飛ばされたロイが、床に尻もちを付いたまま、忌々しげに仁を睨んだ。
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