溺愛ENMA様
怒りを押し殺したロイの声が響く。

「仁じゃない。彼の名はジーン。僕の部下だ」

う、そ……。

嘘……!

ロイは続けた。

「ジーン、いつからご主人様に刃向かうようになった?」

ご主人様……。

仁が眉根を寄せて唇を噛み締めた。

その様子を見たロイが、ククッと笑ってゆっくりと立ち上がる。

「あれ、言ってなかったの、ジーン。ルナに近付いたのは僕の命令だったって。ずっと余計な虫がつかないようにルナを監視してたって」

「違う!貴方は俺を騙してただけだ!ルナに子供を産ますなんて一言も言わなかった!」

ロイが侮蔑の表情で仁を見た。

「そうだね、可愛い女の子がいるから、友達になってやれとしか、言わなかったよね。その意味か分からないなんて……お前は頭が悪すぎる」
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