溺愛ENMA様
ガシャガシャと何かが崩れていく感覚がして、私は胸に手を当てて仁を見つめた。

怖くて声が震える。

「仁……」

涙声の私を、仁が切な気に見つめた。

「ルナ……すまない」

私にそう言うと、仁はロイに向き直った。

「アスモデウス様、たとえ貴方でもルナに手を出す者は俺が許さない」

アスモデウス……?

それって一体なに?

息を飲む私の前で、アスモデウスと呼ばれたロイがニヤリと笑った。

「お前が僕に敵うわけないだろ?」

言うや否や、ロイの口から黒いなにかが飛び出した。
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