溺愛ENMA様
「うわあっ!」

避けきれなかった仁の肩が、シュワリと音をたてて溶けた。

黒い湯気のようなものが肩から上がる。

「きゃあああっ!仁!」

その時、仁の赤い瞳が更に燃えるような赤に変化した。

「ルナに手を出すな!」

仁の眼から赤い光が放たれ、それが剣のようにロイめがけて突き刺さった。

「グッ!」

ロイの右腕から、黒々とした血が滴り落ちて、彼は低く唸るように言った。

「油断したよ、ジーン。お前が本当に僕に牙を剥くなんて」

仁が肩を押さえたまま、ロイを見据えた。

「言っただろう。ルナに手を出す奴は俺が許さないと」
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