溺愛ENMA様
かも?!かもって、なに?!

眉を寄せる私を前に、彼はニヤリと笑った。

「俺についてきたら、お前の捜し人の居所が分かるかもよ」

言いながら彼は、長い刀を左手に持ち替え、空いた右手で自分の顎の辺りを撫でながら私を舐めるように眺めた。

……やだ、なにその目付き。

値踏みするように私を見つめる眼差しが、少し怪しい。

しかも顔は元より、脚とか胸とかジーッと見てるし。

付いていって、いやらしい事とかされたら困る。

「………いいです。自分で捜します」

「あっそ。じゃあな」

目の前のイケメンは、私の答えにあっさり頷き、踵を返した。
< 20 / 328 >

この作品をシェア

pagetop