溺愛ENMA様
「ぎゃあああー!」

その途端、みるみるロイの身体から何かが霧のように吹き出てして、瞬く間にそれが長い牙を持つ蛇のような姿に変わった。

「許さない!」

信じられない早さで、黒い蛇の尾が閻魔の手の刀を弾き飛ばし、数回転した後、ドスッと壁に突き刺さった。

刀がっ!

刀がないと、閻魔が……!

「ルナ、ダメだ行くなっ」

仁の腕が胴にきつく絡み付いて私を止める。

「だって、刀がっ」

その時、眼にも止まらぬ早さで刀が壁から抜けた。

閻魔の術なのか、ロイの魔法か分からない。

けれど次の瞬間、蛇が笑った。
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