溺愛ENMA様
「閻魔……」

怖くて声が掠れた。

そんな私を振り返らずに、閻魔はロイを見下ろしたまま言った。

「ルナ、お前家に帰ってろ」

「だ、けど、ロイが」

「コイツは無事だ。後の始末は俺に任せてお前は帰って待ってろ」

目まぐるしく頭で考える。

どうして?ロイが目を覚ますのを、ここで待っていたいのに。

「嫌だ、閻魔、私も」

閻魔が私を振り返った。

「ダメだ!」

その顔を見て、私は全てを理解した。

閻魔の、哀れみの気持ちを含んだ瞳が私を苦しげに見ていて、私は悟ったのだ。
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