溺愛ENMA様
ギューッと胸が痛くて、涙で全てが滲んだ。

なんて残酷なの、どうして!

私が好きだったのはアスモデウス(悪の復讐者)だったのだと思うと、自分が愚かで仕方がない。

ばかだ、バカだ、私は!!

「赤髪、ルナを眠らせろ」

「……分かった。ルナ苦しむな。今は眠れ」

「……嫌……」

「ルナ」

「嫌だ、逃げるのは嫌」

閻魔と仁が私を見て息を飲んだ。

たとえ偽物の恋だったとしても、さよならを言いたかった。

私はガクガク震える足を必死に抑えながら、ロイに近付いて床に膝をついた。
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