溺愛ENMA様
「何も要らない。ただ、悲しくて辛いの」

私がそう言うと閻魔は暫く考えていたけど、
何を思ったのか私のベッドに潜り込んできて、

「おい、こっち向け」

「な、なに」

「元気になるまで抱いててやる」

閻魔の行動に驚いて思わず振り向いた私を、彼は両腕に優しく囲った。

「閻魔」

驚いているものの元気のない私に、閻魔は優しい声で言った。

「悪魔は、巧く人を騙す魔物なんだ。誰だって騙されるし惑わされる。お前は悪くない」

「閻魔、閻魔」

涙が出そうで、だけどそれを見られたくなくて、私は閻魔にしがみついた。
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