溺愛ENMA様
思わずその思いが顔に出そうになったけど、私は必死でこらえた。

「六文じゃだめ?」

「ダメじゃ」

くそっ!

てゆーか、文ってなに?!

そんなお金の単位、分からんわっ!

内心舌打ちしながらポケットを探ると、硬いコインの感覚を指に覚えて、私は咄嗟にそれをつまみ出した。

やったっ!

って思ったのも束の間、私はそのコインを見てがっかりした。

だって、お金じゃくて、ゲーセンのコインだったんだもの。

あれだ、この間、梓ちゃんと行った時のヤツだ。

「珍しい銭じゃの」
< 23 / 328 >

この作品をシェア

pagetop