溺愛ENMA様
閻魔が、私を。

ようやく唇を離した閻魔が、私の腰を更に引き寄せた。

「ルナ」

低くて柔らかい声で閻魔が私を呼んだ。

「……お前は……俺が嫌いか?」

私は慌てて首を横に振った。

……嫌いなわけない。

命を懸けてアスモデウスから私を守ってくれた閻魔を、嫌いな訳がない。

だけど、だけど。

「ルナ、俺は本気だ」

そんな……どうしたらいいかまるで分からない。

だって、閻魔は人間じゃない。

死者を審判する、あの閻魔大王なのだ。
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