溺愛ENMA様
その閻魔に愛を告げられても、どうすればいいか分からない。

なのに、眼の前の閻魔は、綺麗な眼で真っ直ぐ私を見ていて。

鼻がツンと痛んだ。

たちまち視界が歪む。

後から後から涙が溢れ出てきて、肩が震えた。

「閻魔、わかんない、私、」

閻魔が眉を寄せて私を抱き締めた。

「泣くな……泣かせたくなんかない」

「閻魔、わかんない、ごめん」

私は閻魔の胸を押してそこから抜け出ると、二階へとかけ上がった。

バタンと閉めたドアにもたれると、そのままズルズルとしゃがみこんだ。

その時ポケットのスマホから着信音がして、ゆっくりと取り出すと、桜ちゃんからラインがきていた。

『ルナ、円真君の事ごめんね。いつでもいいのでよろしくね』

ズキッと胸が痛んだ。

閻魔の好きな人が私だなんて、口が裂けても言えない。

どうすればいいかまるで分からなくて、私は立ち上がることが出来なかった。
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