溺愛ENMA様
その瞬間、

「あー、悪ぃ。ルナがちょっと熱っぽいんだ。桜は涼馬に任せる。帰る方向同じだろ?」

言いながら私の首に腕を回すと、閻魔はそのまま私の額に掌を押し当てた。

「やだ、全然気づかなかった!大丈夫?!」

亜子ちゃんや架純ちゃん、桜ちゃんが心配そうに私を見た。

「あ、あの、」

「後は俺がちゃんと看るから心配ない。少し疲れただけだと思う」

閻魔……。

みんなが納得して帰っていった後、私は閻魔を見上げた。

「……熱なんか、ないよ」

閻魔は私を見下ろして、短く言った。
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