溺愛ENMA様
閻魔が僅かに眼を細めて、私を真正面から見据えた。

「言え。今のは本心か」

壁に肘をつき、私を至近距離から見下ろして、閻魔は私の答えを待った。

激しい鼓動と、軋む胸。

……もうわかってる。

本心じゃないって。

「泣くな」

「泣いてなんか」

私の言葉を待たずに、閻魔が腕を引いた。

「泣くなって」

「閻魔っ……」

閻魔が優しく私の頬に唇を寄せた。

それから、逞しい腕で私を胸に抱く。
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