溺愛ENMA様
「嫌なら、自分から出ろ」

閻魔の香りと彼の熱い身体。

柔らかく回された閻魔の腕からは、私の意思次第で簡単に抜け出せる。

「俺が嫌なら、自分から出ろよ。出ないなら」

閻魔はそこで言葉を切ると、私を愛しげに見つめて再び告げた。

「出ないなら……俺に惚れてると正直に認めろ」

胸が震えた。

もう、分かってた。

私の本心は、閻魔を好きだって。

本当は、閻魔をめちゃくちゃ好きだって。

だけど私は鈍感なのかバカなのか分からないけれど、いつ、どの瞬間からそうなったのかは分からなかった。

でも、閻魔を凄く好きだって、今は分かってる。
< 246 / 328 >

この作品をシェア

pagetop