溺愛ENMA様
八番勝負

消せない想い

※※※※※※

「ルナってばっ!!」

亜子ちゃんの声に、私はハッと我に返った。

その直後、深まった秋の風が私の首元を撫でて吹き抜けていき、その冷たさが私を現実に引き戻した。

「あ、ごめ……」

学校帰りに立ち寄った公園のベンチで、亜子ちゃんはミルクティーの缶を両手で持ったまま、私を見た。

「ルナさあ、ここ一週間、凄く変だよ?いっつもボケーッとしてるし食欲ないし」

亜子ちゃんは眉を寄せて私を見つめていたけれど、再びこう言って私の顔を覗き込んだ。

「……何もないなんて、言わないで。……何かあったんでしょ?」

私は亜子ちゃんの言葉に、コクンと喉を鳴らした。
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