溺愛ENMA様
田舎のお祖父ちゃんの家へ泊まりに行った時。

イベントで、確か『船頭さんにチャレンジ!』とかいう企画だった思う。

「お前、櫓(ろ)を使えるのかい」

六文船と書かれた小さな旗が力なく揺れるのを見たあと、お爺ちゃんは私を見上げた。

「つ、使える使える!私が船を漕ぐとお爺ちゃん、楽でしょ?!」

「ああ、楽だ。それに珍しい銭も手に入る」

その時、後方がガヤガヤと騒がしくなり、振り向いた私は心臓を掴み上げられたようにギクリとした。

なにあれ?!

人でもなく、鬼って訳でもなさそう。

ただ、凄く良くない感じ。

青黒い肌が怖いし、正直、関わりたくないビジュアルだし!!
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