溺愛ENMA様
「……何度訊いても大丈夫って言うけどさ、全然大丈夫じゃないじゃん!お昼は食べないし、オヤツだって食べない。笑わないし、いつも眼が赤い」

なにも言えない私の前で、亜子ちゃんは泣きそうな顔をして続けた。

「ねえルナ、何か抱えてるなら、辛いなら言って。私達親友でしょ?ルナが辛いと私だって元気でいられないよ」

「亜子ちゃん……」

実は、閻魔を思ってたの。

あの日の別れから、ずっと。

あの日……あのアミューズメントパーク『BIGJOY』で突然の別れが訪れてから、閻魔とは会っていなかった。

その週明けの月曜日、驚いたことに校内の誰もが閻魔を覚えていなくて、私は、長い間夢でも見ていた気分だった。

だって、あんなに閻魔を好きだった桜ちゃんですら、閻魔の記憶がなかったから。

私は愕然としたけど、どうすることも出来ず、それ以来閻魔の話は出来なかった。
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