溺愛ENMA様
私が話している間中、仁は驚いたように眼を見開いていたけど、言い終わってペコリと頭を下げた私を、彼はきつく抱き締めた。

「ルナ、ルナ」

私よりも大きな仁の身体が震えていて、私は思わず彼の背中を擦った。

「仁、本当にありがとう」

「……ベッドに横になれ。連れてってやる」

「うん」

「行きは、前と同じ場所までしか道を作れない。帰りに何が起こるか分からないから、体力を温存してなきゃならないからだ。要領は前回と同じだ。俺の声を絶対に聞き逃すなよ」

そう言えば仁は、前回も帰りはその場に道を作ってくれた。

あれは、ギリギリまで私が朱里を探せるように考えてくれていたのだ。

「うん」

仁が横たわった私の髪を撫でて、柔らかい声で言った。

「閻魔に会ってちゃんと伝えてこい」

「うん!」

私はしっかりと頷くとベッドに横になり、眼を閉じた。
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