溺愛ENMA様
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仁が繋げてくれた道を、私は夢中でひた走った。

息が切れて心臓が破裂しそうになり、やむなく速度を落とすとハッとして、ポケットを探った。

うん、ちゃんと持ってきてる。

私はあの渡し舟……六文船のお爺ちゃんを脳裏に浮かべた。

前回はゲーセンのコインだったけど、今回はちゃんとしたお金を持ってきた。

早く、早く行かないと。

私は再び走り出した。

閻魔に会いたい。

会ってちゃんと謝りたい。

私は幅の狭い長い道を、歯を食いしばって走り続けた。
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