溺愛ENMA様
※※※※※※

私が船に突き落としたのが気に入らなかったのか、外道衆から逃れる為に必死だった私に恐れをなしたのかは知らないけど、お爺ちゃんはまるで身動ぎしなかった。

「お爺ちゃん」

「…………」

「お爺ちゃんてば」

「…………」

もうー、面倒くさいなー。

私は何とかお爺ちゃんに答えてもらいたくて、思ってもいないことを口にしてみた。

「ねえ、お爺ちゃん、死んじゃったの?!死んじゃったんならこのまま船に乗せとく意味ないから川に突き落とすけど!」

我ながらヒドイ言いぐさだなとは思ったけど、他に思い浮かばなかったの。

すると途端にお爺ちゃんはパチッと眼を開けて、私を見た。

「わしゃあ、もうダメじゃあ……」
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