溺愛ENMA様
「たった今下した審判に従う以外に、お前に道はない。……連れていけ」
……閻魔だ。
閻魔の声だ。
涙が出そうになって、私は胸の前で無意識に両手を握り締めた。
すぐそこに、閻魔がいる。
「今日はこれにて閉廷!」
しわがれた声の主の言葉でガタンと誰かが立ち上がり、衣擦れの音がこちらに近づく気配がした。
咄嗟に柱の影に隠れ、人以外の存在をやりすごす。
……閻魔は……閻魔はここを通るのだろうか。
通らないのなら、会えない。
嫌だ、どうしても会いたい。
意を決して柱から離れ、そろりと歩き出したとき、庭に面した廊下の一部分が、フワリと明るくなった。
……閻魔だ。
閻魔の声だ。
涙が出そうになって、私は胸の前で無意識に両手を握り締めた。
すぐそこに、閻魔がいる。
「今日はこれにて閉廷!」
しわがれた声の主の言葉でガタンと誰かが立ち上がり、衣擦れの音がこちらに近づく気配がした。
咄嗟に柱の影に隠れ、人以外の存在をやりすごす。
……閻魔は……閻魔はここを通るのだろうか。
通らないのなら、会えない。
嫌だ、どうしても会いたい。
意を決して柱から離れ、そろりと歩き出したとき、庭に面した廊下の一部分が、フワリと明るくなった。