溺愛ENMA様
「閻魔っ」

ようやくゆっくりと、閻魔が私を見た。

黒に近い紫の瞳は、夜の海のような寂しさに似ているのに、その光の中には僅かに甘さが滲んでいた。

「閻魔、傷付けてごめんなさい。私、勇気がなくて、怖くて。閻魔とは何もかもが違いすぎて怖かったの。歳をとる早さだって違うし、いつか嫌われちゃうんじゃないかって。だけど、やっぱりこの思いは消せない」

一気にそこまで言うと息がきれてしまい、私は大きく息を吸い込むと、再び続けた。

「閻魔。私、閻魔が好きです。心から好きです」

閻魔が大きく眼を見開いた。

男らしい口が僅かに開き、信じられないといったように私を見下ろしていたから、私は信じてもらいたくてもう一度言った。

「閻魔。あなたが好きです。ずっと一緒にいたい」
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