溺愛ENMA様
硬直する私の二の腕を掴み自分から引き離すと、閻魔は冷たく言い放った。

「お前の言った通りだ。俺ともあろう者が、お前みたいな小娘に惚れるわけがない」

え……。

嘘だ、絶対。

「本心なの、閻魔」

あの日閻魔に訊かれた台詞を、私はそのまま返した。

「本心かって訊いてるの」

涙声で訊ねる私を見て、閻魔は右手に持っていた長い刀を肩に担ぐとニヤリと笑った。

「お前を守ると言った手前、約束を御破算にすると俺の株が下がる。で、仕方なく傍にいたら妙な情が移っちまったようだ。そこに加えて女日照りで勘違いしてたんだ。お前に惚れたと」

血の気が失せていく私を見て、閻魔は尚も続けた。
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