溺愛ENMA様
ドキンと強く鼓動が跳ねた。

嘘……な、んで……?

みんな覚えてないのに、どうして涼馬が?

「……涼馬……マジで言ってんの?」

涼馬は軽く頷くと、空を見上げたままギュッと眉を寄せた。

「お前もだろ?」

閻魔を覚えているなんて、私以外にいないと思っていたのに。

だから私は、涼馬が何を言い出しているのか分からなかったんだ。

息を飲む私の前で涼馬は更に続けた。

「俺、ガキの頃から霊感があるんだ。不思議な体験もいっぱいしてきた」

……初めて聞いた。

涼馬もそうだったんだ……。
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