溺愛ENMA様
「アイツと初めて会って話した時の事、今も強烈に覚えてる。
……アイツ、俺にこう言ったんだ。
『坂本、久し振りだな』って。俺はてっきりアイツのジョークだと思ったからこう言ったんだ。俺は涼馬だけど、漢字も違うし名字も坂本じゃねーよって」
涼馬の声が上ずって震えた。
「アイツ、俺の言葉に我に返ってさ、『ああ、やっぱ覚えてねぇか。けどまあ、今度は長生きしろよ』って……!俺、本当は覚えてるんだ。全部じゃないけど、土佐を出た時の事や、池田屋で襲われた時の記憶も微かにある。けど、誰にも言えなかった。こんな事人に話すと嘘つき呼ばわりされるか、頭がおかしいヤツだと思われるから。けど、アイツは……!」
ポロポロと泣きながら話す涼馬の横顔が痛々しくて、私は思わず彼の腕をソッと掴んだ。
涼馬は……昔に閻魔と会っていたのだ。
坂本龍馬として命を終えた時に。
命を落としてから三十五日目の十王審査は、閻魔が審判を下す日だ。
……アイツ、俺にこう言ったんだ。
『坂本、久し振りだな』って。俺はてっきりアイツのジョークだと思ったからこう言ったんだ。俺は涼馬だけど、漢字も違うし名字も坂本じゃねーよって」
涼馬の声が上ずって震えた。
「アイツ、俺の言葉に我に返ってさ、『ああ、やっぱ覚えてねぇか。けどまあ、今度は長生きしろよ』って……!俺、本当は覚えてるんだ。全部じゃないけど、土佐を出た時の事や、池田屋で襲われた時の記憶も微かにある。けど、誰にも言えなかった。こんな事人に話すと嘘つき呼ばわりされるか、頭がおかしいヤツだと思われるから。けど、アイツは……!」
ポロポロと泣きながら話す涼馬の横顔が痛々しくて、私は思わず彼の腕をソッと掴んだ。
涼馬は……昔に閻魔と会っていたのだ。
坂本龍馬として命を終えた時に。
命を落としてから三十五日目の十王審査は、閻魔が審判を下す日だ。